ハマキヨロングインタビュー〜その2〜
「では、出演者の皆様とハマキヨの関わりなどを お一人ずつお聞きしたいと思うのですが…まずは、眞継玉青さん」
ハマ「そもそもの出会いは、僕らはずっとNLTを観てて、ずっと客席から観ててね…」
キヨ「綺麗な人だな〜ってね」
ハマ「
「以前の公演」にも書いたけど、先生が「呼ぼうか?」っておっしゃった時に、「いや、ありえないでしょ?」って言ったくらいの人だから…」
キヨ「お人形さんみたいな人がね…」
ハマ「うん。あるわけないって思ったら…二つ返事で。憶えてますよ、三越(劇場)にキヨちゃんと二人であわてて挨拶行ってね」
キヨ「そうそう」
ハマ「『いいんですか?』って聞いたら『前から出たかったの〜イェイッ(ピースサイン)』ってやられて…」
キヨ「うんうん」
ハマ「泣いてたね〜稽古場に来てね(笑)」
キヨ「(笑)」
ハマ「でも、不思議なもんでね…ここ…1年くらい、やっと普通にタメ語でしゃべれるようになったんだよね。やっぱ緊張しててね…」
キヨ「へ〜」
ハマ「舞台の上じゃ、あんだけひっぱたいたりしてるのにさ、緊張してたんだね〜」
キヨ「僕は逆になれなれしく話しかけてて…」
ハマ「うらやましいね〜キヨちゃんは」
キヨ「無意識に懐飛び込みすぎちゃって、失礼なこと言ってるんだろうね。『キヨちゃん嫌い』ってよく言われる(笑)」
ハマ「あはははは。最初の頃は、あれだけ毎日飲みに行ってても必要以上に会話できなかったけど、今は平気で『昨日さぁ〜う●こもらしちゃって』なんて話せるもんね(笑)」
キヨ「あははは。7月の舞台でも共演したじゃない」
ハマ「楽だった〜あん時も。」
キヨ「その時に、彼女の独白のシーンがあったんだけど『ちょっと耐えられないから付き合って』って舞台上でね。むしろこっちよりになって来たんじゃないかって…それってうぬぼれてる?(笑)」
ハマ「だから、あいつが落ちてきたっていうね(笑)」
一同爆笑
「舞台の上での眞継さんとのやり取りは、お二人にとって?」
ハマ「楽だね〜」
キヨ「やりやすい。プロンプ
(注2)も入れてくれるしね。第一プロンプは僕だけど、第二プロンプは眞継さんだからね」
ハマ「キヨちゃんの次に“目でわかってくれる人”芝居なのか、困ってるのか(笑)」
一同爆笑

キヨ「ただ、あれだね、僕が一番かもしれないけど、二番目にゲラ
(注3)なのは眞継さんだね」
ハマ「ゲラかぁ?」
キヨ「やばいよ」
ハマ「見たことないんだけど…」
キヨ「あ、後ですっげー怒られる『キヨちゃんずるい!』ってね」
ハマ「あぁ、裏でね…でも見たことないな〜」
キヨ「あの人は芝居に変えるから」
ハマ「そうだ。あと、完全に見なくなるんだ、やばいときに」
キヨ「(笑)芝居を放棄(笑)」
一同爆笑
キヨ「とにかく、照明が当たってなくてもぱぁ〜と光ってる女優さんだね」
ハマ「光ってるね」
「眞継さんへメッセージを」
ハマ「そりゃ…もう、愛してますよ」
キヨ「今年もよろしくねってことで…」
「では、藤川恵梨さんについて聞かせてください。」
ハマ「恵梨ちゃんは逆に楽だったね…最初から。」
キヨ「出来た妹だね〜」
ハマ「どっちも綺麗なんだけど、玉青ちゃんの場合は最初話せなかったんだけど、恵梨ちゃんの場合は最初話しやすくて、けど、その後気が利きすぎて恐縮して話せなくなってくるっていうね…(笑)」
キヨ「ああ」
ハマ「だって、タバコくわえたら、火ついてるとか、ビール持ったらコップがもうあるとかさ…」
キヨ「気づかないうちにね…そうそう。恵梨ちゃんは『オチの後で』かな?最初に会ったの…」
ハマ「そうね」
キヨ「稽古やってて、しばらくは我慢してたんだよ…」
ハマ「そう」
キヨ「オヤジ
(注4)に(笑)」
ハマ「我慢してたねぇ〜ある日倒れたね」
キヨ「ある日ダメんなってから、その日からだね、彼女がハマキヨファミリーになったのは(笑)」
ハマ「ね〜(笑)」
一同爆笑
キヨ「それまではちょっと…」
ハマ「つまんないのかな?って思ってね」
キヨ「“客演さん”って感じだったんだけど…」
ハマ「いや、彼女も緊張してたんだと思うんだけど…。まず、稽古場で“笑う”ってのはご法度じゃないですか。先輩が稽古してる中で…」
「そうなんですか?」
キヨ「だったんじゃないの?」
ハマ「僕たちは失礼なだけで…」
「面白いお芝居って笑っちゃいけないんですか?」
キヨ「いや、僕は笑っちゃいますけど…」
ハマ「前にね、僕が、商業演劇出た時に片桐はいりさんに「稽古場って笑っていいんですか?」って聞かれたの」
キヨ「へ〜」
ハマ「僕は最初が商業演劇なんで、逆に小劇場の方ってそうなんだなって思ってたの。商業だと逆に気を使って笑うときもあるからさ…小劇場出身のキヨちゃんはどうなの?」
キヨ「基本的に“やっちゃいけないこと”ではあるよね…」
ハマ「だよねぇ〜」
キヨ「役者同士の中で、突発的に面白いことが起きて、ほかの役者が笑うってことは、お客さんを置き去りにしてる行為だから…」
ハマ「はいはいはい」
キヨ「基本的にやっちゃいけないと思うんだけど、それをやってもいいくらいに上がってる場合は」
ハマ「芝居のレベルがね」
キヨ「もしくはそういうスタイルの稽古場で進んでる場合、無理にやったら逆にあざとくて しらけるけれども」
ハマ「そうそう」
キヨ「我慢した結果出てくるものであれば、ありだなって思うね。だから、恵梨ちゃんの場合はそこを超えて来たからいいんだと思うんだよね」
ハマ「僕らはよく『ドリフターズ』にたとえられちゃうけれども、長さんがさ「絶対笑うなよ。内輪ウケになったら、客が全部引く」ってさ、仲間が何しようがメンバーは笑わないっていうね…それは正しいよね。」

キヨ「うん、しらけるもんね」
ハマ「見てる側からしたらさ、「そっちで何やってんだよ!こっちは金払ってんだぞ!バカ野郎!」ってなっちゃうもんね」
キヨ「うんうん。だからさ、恵梨ちゃんは自分の設定の中で生きてて、でも設定の中で生きてても、うちにいる飛田のオヤジが(笑)」
ハマ「(笑)空飛んでたら笑うよね(笑)」
キヨ「(笑)わけわかんない動きすれば、そこに生きてる人間も笑うだろうと(笑)」
ハマ「うん(笑)」
キヨ「そういうところで、彼女本人と役の感情がシンクロして笑ったならありんなんじゃないの。ぼくはゲラに優しいから…」
ハマ「そうだね〜あと、池田先生もおっしゃってるしね「舞台上で生きてる人になれ」って…」
キヨ「うん」
ハマ「「舞台上で生きてればハプニングがあっても…」人生ってハプニングがあっても、普通に対処するじゃんか、と。「でも“演じちゃってる人”は対処できないんだよ」っておっしゃってたね」
キヨ「うん」
ハマ「舞台の中のその人がおかしくて笑ってるなら、それはお客さんに伝わる笑いだと思うんで。」
キヨ「うん、で恵梨ちゃんの話だったんだけど…」
ハマ「だよね〜(笑)」
キヨ「恵梨ちゃんはゲラだけぢゃなくて、これ(腕をたたく)持ってるからさ〜」
ハマ「腕あるね」
キヨ「踊りも出来るしさぁ〜『闇夜』
(注5)の時の池田賞
(注6)、恵梨ちゃんだもんね」
ハマ「そうだよ。今は名取だもんね」
キヨ「『闇夜』の時は前にちょっとやってて、やめちゃって、それで、『闇夜』で改めて踊りだして、今や名取だもね〜実行力がね…」
ハマ「あの子はすごいと思う…」
キヨ「あと、何がすごいってね…仕込みバラシの時に、マイグローブ持ってね男勝りの働きをしてくれるんだよね」
「そこに関してはハマキヨが出来なさすぎるって話もありますが…(笑)」
ハマ「そうそう、俺なんか平台運んでて壁にバンバンぶつけたりしてんのにさ(笑)」
キヨ「釘打って晋さん
(注7)に怒られたりね(笑)」
ハマ「『あぁ〜ぁ〜やめてぇ〜壊れちゃうよぉ〜』って言われたもんな(笑)」
一同爆笑
「では、そんな頼りがいのある藤川さんにハマキヨから一言お願いします」
キヨ「今度は僕が愛してる」
ハマ「キャッチャーになって欲しいんだよね。しめる人っていうかね、ピッっと抑えてくれたら、僕ら遊べるなって」
注2…プロンプ【prompt】 芝居やテレビなどで台詞(せりふ)を忘れた俳優に陰からそっと台詞を教えること。
注3…ゲラ 大声でとめどなく笑うさまをあらわす『ゲラゲラ』の略で、すぐにゲラゲラと笑い出してしまう人や笑い始めたら止まらない人など、笑い上戸な人を意味する。もともとは演劇用語で、すぐに笑う人という意味で使われた
注4…客演の飛田康介さんのことをハマキヨは「オヤジ」と呼んでいる。
注5…『闇夜に花の咲くような』ハマキヨ第10回公演(2009年)
注6…池田政之氏の作品で発表される賞。「独断と偏見によるインチキ賞」とご本人はおっしゃっているが…詳しくは池田政之氏のHP
[インチキ賞の軌跡]へ
注7…ハマキヨの舞台監督 村岡晋さん 業界では温厚で有名

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